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池袋東口法律事務所
2.実戦!離婚調停
(3)離婚調停の進み方
ここでは、調停の申し立てから、終了までの流れを解説します。
今までに調停をしたことがある人は少ないと思います。
きっと、ぜんぜんわからないことだらけでしょう。
みんなそうですから、安心して下さい。
★どこの家庭裁判所に申し立てるか?
離婚調停は、相手方の住所を管轄する家庭裁判所に申し立てて下さい。管轄というと難しいですが、要するに、相手の住所のある都道府県の家庭裁判所に申し立てるということです。
ただ、北海道はいくつかありますし、支部などもありますから、確認が必要です。どこが管轄かわからないときは、電話で「相手は○○が住所なんですが調停の管轄はどちらになりますか?」と裁判所に聞いてみて下さい。管轄がどこか悩む暇があれば、電話一本する方が早いです。
なお、夫婦の合意があるなら、その他の場所の家庭裁判所での調停も可能です。
ここで問題なのは、夫婦が別居していて、相手が遠くに住んでいる場合です。
例えば夫が北海道にいて、妻が九州にいる。妻が調停を申し立てるには、相手の住所のある北海道にいかなければならないことになります。
これでは不便ですね。不便なので、子供が小さいなど、特別な事情があれば、自分の住所に近い裁判所で調停ができる場合があります。これを自庁処理といいます。家庭裁判所で相談してみて下さい。
★調停の申立て方
家庭裁判所で、申立書に記入します。難しいことはありません。
不明点は、裁判所の担当者に聞きながら書けばよいです。費用は合わせて3千円程度です。
ここで、おそらく一番の疑問点は、申立書の「申立ての趣旨」の欄に、「円満調整」と「夫婦関係解消」とを選ぶ欄があるところだと思います。このことについては、離婚Q&A(5)離婚するのに円満調停?参照。
この申立書の記載内容は、あまり神経質になる必要はありません。実際に調停が始まってから主張を変えることもできますから。
家庭裁判所に離婚調停を申し立てた後、2週間位すると、何月何日に裁判所に集合、という手紙が夫婦双方に届きます。
(なお、相手に届く調停の呼び出し状には、調停の目的が書いてありません。円満か離婚かわかりません。離婚のためでなく、夫婦の仲直りのために、調停を使うときは、予め調停の目的を相手に伝えておくと親切だと思います。相手は何のための調停かわからず、不安になってしまいますからね。)
第1回目の調停は、1月程度先です。準備して待ちます。(資料作成のポイント参照)
★第1回調停期日
呼び出された期日に、家庭裁判所に行きます。
あなたが調停を申立てた「申立人」であれば、裁判所の「申立人側控室」で待ちます。この部屋は、あなたと同じく調停を申立てた人たちが皆集まる相部屋です。相手側とは違う部屋になります。
なお、この部屋までは、あなたの友人や親類も付き添い可です。付き添いがあるなら、この部屋で待っていてもらいましょう。この先の調停室へは、本人と弁護士しか入室できません。
控室で待っていると、申立人が調停室に案内されます。
調停室では、おそらく、調停委員が2人待っていると思います。
この調停委員は正式には「家事調停委員」といって、1人が男性、1人が女性で、40才〜70才位の、民間人です。民間人といってもいろいろで、弁護士のこともあれば、会社の役員の方や、定年退職した方のこともあります。(ちなみに、調停委員の給料は安く、ボランティアに近い仕事です。)
調停では、この調停委員2人が、夫婦双方の間に入って、話を進めていくことになります。
(この他に、「家事審判官」が1人つくのですが、家事審判官は何件も調停を担当していて忙しく、実際の調停にはほとんど出席しません。たぶん、調停がまとまった日に、1回出てくる位でしょう。この家事審判官は、通常、現役の裁判官です。)
申立人の始めの面接では、通常、申立人は調停委員に対して、申立ての理由の説明をすることになると思います。どうして調停を申立てたのか、簡単に説明して下さい。
他に、調停委員から、調停の進め方の話もあるかもしれません。
調停は、通常、調停室に、交互に、片方だけが呼ばれる形で進行するのですが、夫婦双方が同席して調停を行うこともできます。どういうやり方がよいか、希望を聞かれるかもしれません。
そんなこんなで、30分くらいで、申立人は一度退室します。次に相手方の面接が始まります。
それが終わると、また申立人の面接。交代に2回か3回、面接をします。
例えば、夫が入室し、「奥さんの話はこうですが、旦那さんの意見はどうですか」と聞かれる。次に妻が入室し、「旦那さんはこういっていました。奥さんはどう思いますか」と聞かれる。次はまた夫、という具合です。
そうこうしていくと、調停委員は、双方の主張の違いや、対立点がわかってきます。双方の準備が足りないところなんかもわかってきます。
次の調停の期日までに、何か調べておいてね、とか、何か考えておいてね、とか、書類を準備してね、とか、いわれることもあると思います。そうしたことはメモしておきましょう。
そしてその日の最後に、次の調停の期日を決めて、第1回調停期日は終了です。
なお、調停委員には守秘義務がありますし、夫婦のトラブルにもだいたい慣れている人たちです。話しにくい夫婦の事情もあると思いますが、恥ずかしいこともないので、話しにくいことも話して大丈夫です。
恥ずかしいことも話さないと、調停委員に事情が伝わらないので、向うも困ります。向うから聞いてくるかもしれませんね。それはそういうものなので、あまり気にしないで下さい。それが彼らの仕事なのです。
★続行期日
次の調停期日は、だいたい、約1ヵ月後の同じ曜日です。月1回のペースで行われ、3ヶ月〜半年くらいかかる例が多いようです。
次の期日には、調停委員から前回いわれたことを必ず準備して、向かいましょう。いわれたことをやっていかないと、心証も悪いですし、いつまでたっても調停が終わりません。
他にも、前回いい忘れたこと、調停委員に伝えられなかったこと、考えを整理して、今度は伝えられるようにしましょう。資料を作っておくのもいい方法です。(資料作成のポイント参照)
こうして双方の合意ができるまで、期日を続けることになります。
★調停条項
双方の合意ができると、最後に、「調停条項」(作成例はコチラ)を作ります。
これは調停調書になります。裁判の判決と同じ効力のある、大切な文書です。
最後に家事審判官が出てきてお話があります。いきなり出てきてなんだこいつは、と思うかもしれません。この家事審判官は普通は裁判官で、裁判所では一応偉い感じの人です。別に裁判官だから偉いというわけでもないですが。裁判所はなんかこういう権威主義的なところがいまだにあるんですよね。まああんまり関係ない話です。
そんなこんなで終了です!長い間お疲れ様でした。
これで調停成立です!!
★ワンポイント
DVやなにかあがあって、調停で、相手と顔を合わせたくない、という人がいます。
調停では、基本的に、双方が交互に調停室に入りますから、直接顔を合わせない仕組みになっているのですが、それでも裁判所の建物は一緒ですから、偶然に相手と遭遇してしまうことがあります。
そういうときは、裁判所に相談して下さい。最近の裁判所は、できるだけ相手に会わないように配慮してくれるようです。
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