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池袋東口法律事務所


2.離婚の子供問題
(1)親権/監護権のすべて

1.親権とは何か?

 親権とは、子供の身の回りの世話や教育をし、子供を保護し、子供の財産を管理し、子供の代理をする権利と義務のことです。

 夫婦が結婚している場合、父母が2人で親権を持ちます。例えば、子供をどこそこの学校に入れたい、という時には、父母が相談して決定します。

 片方の親だけが勝手に子供のことを決めることはできません。片方の勝手で決めてしまうと、原則的にはですが、無効になります。親権は父母が2人で持つので、片方の意見だけで決めることはできないのです。


2.離婚で親権はどうなる?

 離婚の時、親権者を父母のどちらにするか決めます。

 離婚届には、親権者を指定する欄があります。離婚届にどちらの名前を書くか、この記載はとても重要なので慎重に。


3.親権者は父母どちらに?

 親権者を父母どちらにするかは、話し合いで決めるのが理想ですが、現実には、親権の奪い合いになることがあります。父母の話し合いで決まらない場合、調停や裁判で決めます。

 このとき、裁判所の判断の基準は、下記のようなものです。一律の基準はなく、家庭それぞれの事情次第で総合的に判断されます。

 なお、父母の思いも大切ですが、裁判所が重視するのは、子供がどちらで育つのが子供にとってよいか、ということです。

 これは大切な視点です。子供の人生、子供が主役なのです。調停や裁判をせず、父母だけで話し合って親権者を決めるときも、参考にして下さい。

★コレが親権者を決める
・親の監護能力/心身の健全
 親が子育てに向かないとか、病気で子育てできない事情があると親権獲得には不利です。

・親の性格/子供に対する愛情
 重要な要素です。

・親の経済状況
 資産や収入がある方が有利です。しかし、お金がなくとも、相手から養育費を貰えば解決する話ではあります。

・住居環境・教育環境
 子が安心・安定して暮らせる環境がある方が有利です。

・将来の見込み
 今何か問題があるとしても、それが将来解決するならば、問題の深刻性は少ないことになります。

・子供を強制的に奪っていった!
 子供を無理やり奪っていったような事情があると、違法な行為をしたということで、マイナスに作用します。

・子供の意思
 子供が小学校高学年以降で、自分の意思がはっきりしている場合、子供の意思が尊重されます。

・子供の年齢
 子供が小さいうちは、父親より母親が大切だという、良くも悪くも伝統的な日本人の考え方があります。幼児の場合は、親権は母親が絶対的に有利ということになります。

・兄弟関係
 一方が連れ子の場合など一概にいえませんが、兄弟を分けるのは、子供にとって良くないと考えられます。

・子育てを助ける人の存在
 例えば、実家の母親が子育てを手伝ってくれる事情があると有利です。もっとも、子育てを任せきりというのもよくありません。

・子供の生活環境
 夫婦が別居してそのどちらかに子供がもう何年もいる場合に、子供の生活環境を変えるのはよくないということで、子供が現在過ごしている方が有利になることがあります。


.親権者が決まらない!

 親権者を決める調停をするのが良いでしょう。離婚調停の中で親権者を決めることもできます。家庭裁判所に申し立てます。(離婚調停のすべて参照)


5.監護権とは何か?

 監護権とは、子供の身の回りの世話をする権利のことです。

 親権をどちらにするか、もめにもめた場合、親権者とは別に、監護権者を決めることが、稀にあります。

 通常、子供は親権者の元で育ちますが、監護権者が別にいると、子供は監護権者が育てます。ただ、あくまで親権は親権者にありますから、複雑な関係になります。最近ではあまり例がありません。


.親権者を変更したい?

 離婚のときに一度決めた親権者を、後から変更することは、一般には困難です。

 しかし、子供の養育に良くない事情があるときは、変更が認められるかもしれません。家庭裁判所に親権者変更の調停を申し立てて下さい。

★親権者の変更ができる例
・親権者が子供を虐待する
・親権者に経済的に困難な状況が生じた
・親権者が病気



7.知っ得!?親権!

★チェックポイント!親権
・親権を取るには!?
 何も考えずにただ親権が欲しいといってもダメ…。

 子供を養育するのにふさわしい環境を用意して!実家の助けも求めて!生活習慣も見直す!酒癖も治す!真面目に!

 自分が親権者としてふさわしく、子供にとっても自分の元で育つのがいいはずだ、ということを、相手や調停委員に説明できることが大切!!

・親権がなくても親子
 離婚で親権が取れなくても、親子関係に変わりはありません。

 一緒に暮らさなくても養育費を払う義務はあるし、親が死ねば子供が相続します。逆に、親が年を取って生活に困れば、子供が親を扶養する義務もあります。

 面接交渉もできます(面接交渉権のすべて参照)。

 離婚後の面会は実際にはいろいろと微妙なところもあると思います。

 しかし、ご自分の人生を振り返ってもわかると思いますが、子の成長と親の年齢の取り方によって、親子関係は変わっていきます。

 例え子と同居していたとしても、子が思春期には子とうまく話せないということもあるだろうし、また子がもっと大人になってくると、子もいずれは離婚ということが理解できるようになるのではないでしょうか。

 今は親としてできることをする、それが養育費なのか、面会なのか、あるいは落ち着くまで一時的に会わないということなのか、それはいろいろ事情があると思いますので、一概に言えません。

 これは法律の問題という以前に、人間としてのあなたの生き方が問われる、ということなんだと思います。

・困ったら調停!
 親権関係のことは何でも調停ができます。利用しましょう。


 親権をどうするかは、子供にとってどうするのがよいのか考えるのが第一です!

 それがあなたの子供のためになります!



離婚前に考えること

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