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池袋東口法律事務所
1.離婚のお金問題
(2)慰謝料のすべて
1.慰謝料とは何か?
法律には、他人に違法に損害を与えたら、その損害はお金で賠償しなければならない、という決まりがあります。これは夫婦の間でも同じです。
例えば、夫が不倫という違法な行為をしたら、精神的に損害を受けた妻は、夫に慰謝料を請求できます。
2.どんなときに慰謝料?
簡単にいえば、法的に悪いことをすると、慰謝料を払う義務があります。逆に言うと、法的に悪くないなら慰謝料を払う必要はありません。
一般に、離婚の際にやり取りするお金全般について、全てひっくるめて、「慰謝料を払った、貰った」ということがあります。
しかしこれは法的には正しい言い方ではありません。
例えば、単に「性格の不一致」で、夫婦のどちらも法的に悪いとは言えない離婚の場合、慰謝料は発生しないのです。
ですから、そこでやりとりするお金は、正確には、慰謝料ではありません。おそらく財産分与か、養育費のことか、単なる贈与か、何か別のお金のことを、あいまいなまま「慰謝料」と言ってしまっているわけです。
あまり細かいことまで考える必要がないことも実際は多いのですが、法的にはこの区別は重要です。
例えば、離婚の時に100万円渡したとします。この100万の意味が「慰謝料」なのか「財産分与」か「養育費」かわからないと、後からトラブルの元になります。
お金を渡す時は、何の意味で渡すのか、確認するようにしましょう。
「慰謝料」については、法的に悪いことがある時にだけ払うわけです。
慰謝料が発生する、法的に悪いこととは、だいたい下記ようなことです。
★慰謝料が発生する例
・不倫
不倫とは肉体関係のことです。キス位では不倫にはなりません。
なお、不倫相手にも、慰謝料請求できることがあります。(例えば、夫が浮気した場合、妻は、夫だけでなく、夫の浮気相手に慰謝料を請求できることがあります。)
・暴力
人を殴ったらいけないのは他人でも夫婦でも一緒です。相手の暴力の結果、離婚せざるをえなくなった場合、慰謝料請求できます。
・生活費を渡さない
結婚した以上、生活費を渡すのは義務です。
・性交渉の拒否
一概には言えませんが、程度がひどい場合、慰謝料請求できるでしょう。
★慰謝料が発生しない例
・ダブル不倫
両方悪いということなので、慰謝料はなしにすることが多いでしょう。(程度に差があれば別です。)
・性格の不一致
よほど異常な性格が原因でなければ慰謝料は生じません。つまり、世間で多い、性格の不一致での離婚は、慰謝料の話にならない離婚です。(他に浮気などしていれば別です。)
・病気
病気になるのは仕方ないことです。離婚の原因にはなっても、慰謝料は発生しません。
3.慰謝料の相場は?
慰謝料の額は、基本的には、当事者の合意次第で、いくらでもOKです。
しかし、だいたいの相場はあります。
法的に悪いことをしたことが原因で離婚になった場合、裁判では、百万〜数百万の範囲で幅がありますが、300万前後の賠償が認められる例が多いです。
なお、裁判では、下記を考えて額を決めます。
★コレを考えて慰謝料決定
・責任の重大性(不倫期間など)
・支払う側の経済力
・結婚期間の長さ
・双方の年齢・社会的地位
・離婚後の生活
・精神的損害の程度
4.慰謝料の税金
現金で慰謝料を支払うぶんには、税金はかかりません。
ただし、あまりに高額だと、税務署に、慰謝料に見せかけた贈与だと疑われ、受け取った側に贈与税がかかることがあります。
5.知っ得!?慰謝料!
★チェックポイント!慰謝料
・慰謝料は離婚後3年以内
離婚の慰謝料は離婚と同時に貰うのが良いですが、もし貰っていないなら、損害を受けてから3年、または離婚後半年以内ならば請求できます。
急いで、弁護士か家庭裁判所の相談コーナーに!
なお、相手が自主的に払うならば何年後でもかまいません。3年過ぎていても、いちおう請求してみることが有効な場合があります。
・財産分与と慰謝料
財産分与をする時に慰謝料を含め、一緒に「財産分与」として処理することがあります。
つまり、財産分与には「慰謝料が含まれた財産分与」と「慰謝料を含まない財産分与」があるわけです。
前者の場合、財産分与と別に慰謝料請求はできません。後者であれば別に請求しないといけません。
財産分与をする時に、慰謝料を含める意味なのか確認が必要!
・「慰謝料」という名前が嫌
慰謝料は、法的に悪いことをしたら払うものです。
「…ということは、自分が慰謝料を払ってしまったら、自分が悪いと認めることになるんじゃないか?慰謝料なんて人聞きが悪い!嫌だ!払わない!」
という人がいます。
確かに、慰謝料を払ったなんていうと、実際、人聞きは悪いかもしれません。
この人は不倫したのか?と他人に思われかねません。実際、不倫していたとしても、気分は良くありません。
そんな時にいい方法があります。
慰謝料といわずに、例えば名目を「解決金」としてお金を払うのはどうですか。
「解決金」としてお金を払えば、「慰謝料」の名目ではお金を払わずに済みます。
これは実務で使われるちょっとしたテクニックです。
どっちが悪いとかいいだすと、離婚の合意ができる話でも、どちらも意地になってしまって、合意ができません。
そこで「解決金」とすれば、どちらが悪者かはっきりさせずに、あいまいにしたままで、離婚を合意できるわけです。
ただ、この手を使うのに一つ注意すべきことがあります。
実質的には慰謝料を払ったのに、慰謝料という名目で払わなかったために、まだ慰謝料を払っていないことにされる危険があるのです!
後から「まだ慰謝料もらってないから払って」といわれないように、必ず「お互いのお金のやりとりはこれで最後にする」という約束をし、書類を作っておきましょう。(離婚協議書作成例第七条参照)
・困ったら調停!
間違いのない方法です。特に、慰謝料の金額に合意できない場合、いくらが妥当かわからない場合、調停が最適です!(離婚調停のすべて参照)
慰謝料は法的に悪いことをしたときだけ発生!
離婚後の生活のため、貰えるなら貰っておこう!
自分が悪いことしちゃったなら仕方ない、払うしかありません…
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